スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ぼくのエリ ネタバレありの個人的な感想

カラテア

写真はうちの観葉植物・マランタ



2008年のスウェーデン製バンパイア映画。副題がついていますが、映画のイメージを壊すだけなので書きません。現在東京で1箇所しか上映されていないマイナーな映画なので、記憶を辿ってあらすじも書きます。言葉や順序が多少違っていたらすみません(^-^;

ストックホルム郊外の小さな町に住む12歳の少年オスカーはクラスメイトの少年グループのいじめの標的になっている。いつしかオスカーはナイフを入手し、そしてアパートの中庭で人に見立てた木を刺すようになる。そんな夜、隣の部屋に越してきたエリという12歳の少女と出会う。その頃、近くの町で残酷な殺人事件が発生する。オスカーは新聞から切り抜いてその猟奇的な未解決の犯罪事件のスクラップを作るようになる。
やがて心惹かれたその少女と徐々に言葉を交わすようになり、オスカーはどことなくなぞめいたエリに初めての恋をする。オスカーはモールス信号を本で読んで覚え、エリにも教え、2人は壁越しにモールス信号で短い言葉を伝え合うようになる。その頃、オスカーの住む町でも失踪事件が起き、クラスメイトが狙われ、捕まる際に犯人であるエリと暮らしていた中年男は自分の身元を隠すために自分の顔に硫酸(?)をかける。人相が分からなくなるほど顔がただれた男は病院に運ばれるが、その夜、窓から訪ねたエリに彼女の唯一の食べ物である血液を与えるため、自らの血を差し出し、男は命を落とす。
その夜、エリは血まみれの口で寝ているオスカーの窓辺を訪ねる。オスカーに振り向かないように頼み、服を脱いで彼のベッドに潜り込むエリ。「裸なの?体が氷のように冷たい」と驚くが、やがてオスカーは眠りに落ちてしまう。翌朝目覚めると彼女の姿は無く、彼女の走り書きだけが残されていた。窓から顔を出すオスカー。その周囲には人が留まっていられそうなスペースは無い。
やがてオスカーの住む町でも失踪事件が起きる。被害者に子供が飛びつく姿が目撃されていた。
そんな中、オスカーへのいじめは厳しさを増す。エリは「やり返して。そうすればいじめられなくなる。私も手伝うから。」という。オスカーは放課後、学校でトレーニングをして強くなろうとしはじめる。
オスカーはエリへの思いを自覚し、エリに「付き合って」と申し込むが、意外なことにエリには「付き合う」という意味が分からなかった。自分が女の子ではないというエリ。しかし付き合っても何も今とは変わらないと言われ、オスカーと付き合うことを承諾する。
そしてエスカレートしたいじめっ子たちは、課外授業でオスカーを氷の池に入らせようとするが、オスカーは落ちていた棒でいじめっ子を叩いて怪我を負わせ、グループの他のいじめっ子たちはオスカーに一目置いたように見えた。
オスカーはお気に入りの廃屋にエリを連れて行き、自らの手をナイフで切って、血の契りを交わそうとエリに手を差し出す。しかし床に滴った血を見たエリの様子は変わり、獣のように床に飛びついて血をすする。
一連の不思議な出来事からオスカーは彼女がバンパイアであることに気付き、質問する。隠すことなく事実を認めるエリ。「食べ物は血。どんなことをしてでも生き延びたいだけ。」初めて会ったときオスカーが呟いていたいじめっ子の言葉をそのまま繰り返し、「あなたも生き延びたいでしょ。」というエリ。さらにオスカーはエリが言っていた「女の子じゃない」という言葉の意味を知る。バスルームを覗き見して、縫い付けられて女性としての機能を失ったエリの無残な下半身を見てしまったのだった(このシーンはぼかしが入っています レビューで知っていました)。
それでもエリへの気持ちが変わらないオスカー。
ところが、親友を殺され、自分の彼女がエリに吸血されているところを助けたものの、彼女が生きながら変化し、光に当たることで自殺を遂げてしまった男がエリを不審に思い、アパートに忍び込む。バスタブの中で眠るエリの首にナイフを突きつける男。たまたま部屋をこっそり訪れていたオスカーはナイフで男を止めようとする。その隙に目覚めたエリが男に飛び掛って吸血し、男は息耐える。そのときの物音で上の階の住人が「今何時だと思ってるんだ、静かにしろ!」と怒鳴りまくる。「もうここにはいられない」というエリ。
その夜、オスカーが窓の外を見ていると、1台のタクシーが通っていった。エリの部屋は空になっていた。
エリの以前の走り書きを再び手に取るオスカー。そこには「ここを去って生き延びるか。留まって死を迎えるか。君のエリ」と書いてあった。
涙を流すオスカー。
そんな矢先、弟を痛めつけられたいじめっ子の兄がオスカーをプールにおびき出し、3分間潜らせようとする。さすがにいじめられた本人も引くが、兄の怒りは収まらない。頭を抑えられてプールに潜らされ、絶体絶命のオスカー。そのとき、水の中にくぐもった悲鳴が響き、何かが投げ込まれる。それはいじめっこたちの引き裂かれた体の一部だった。オスカーを押さえ込んでいた腕の力が急に抜け、それはちぎれた腕の断片となって水面に浮かんでいき、不意に引き上げられるオスカー。エリだった。笑顔で見つめ合う2人。
窓からの日差しを受けながらたった一人で列車に乗っているオスカー。やがて彼は床に置いた物にモールス信号を送る。すぐに返事は返ってきた。床に置いたトランクの中に入っているエリから。

原作を読んでいないので、あくまで映画を観ての感想です。
ハリウッド作品のバンパイア物を見慣れていると、派手さや華やかさのカケラもない、ハリウッドらしい演出ともまるで違うこの映画に少し戸惑いますが、観ているうちにこの作品はバンパイア物でありながら、描いているのは別のことであるのが分かってきます。牙や変身シーンがないのも、そのための演出でしょう。
さらにこの映画の作品紹介にはたいてい「12歳の少年とバンパイアのラブストーリー」と書いてありますが、私は少し違うと思います。普通の恋なら少年を子供から男へと変えていくことでしょう。しかしエリは何度も「女の子じゃないから」と言います。その言葉の本当の意味(エリが女性として機能できないこと)を知り受け入れた過程はさらりと描かれていて見過ごされがちだと思いますが、実はこの映画の本質を描いているのではないかと思います。子供のうちにこのような身体にされ、吸血鬼と変化しているエリは人を愛することができないと思います。オスカーが恋心を抱いてエリに接するのに対し、エリは最後までオスカーに恋心を抱きません。
それではエリはなぜ彼を必要としたのでしょうか?
200年も12歳として居所を転々と変えながら生きてきた少女。映画では深く描いていませんが、彼女の心はどんなに孤独だったことでしょう。人を愛することのできない子供でも、孤独は感じるのだと思います。
エリが自分が生き延びる手段にオスカーを選んだとしたら、オスカーが差し出してくれたキャンディーを一度は断ったものの、オスカーの気持ちに応えて食べて吐いてしまったり、バンパイアの性質を知らずに部屋に入るようオスカーが求めたとき、それに応じればどうなるか自分では知っていながら部屋に入って出血して血まみれになったりという、自分の命が脅かされる行為はしなかったと思うのです。
200年生きてきた老練な妖魔の策略など用いず、ありのままの吸血鬼としての自分を常にオスカーの前に晒して、「私を受け入れて。私を少しでも理解して。」
それが孤独な彼女の求めるすべてだったように思えてなりません。
オスカーはクラスメートからいじめを受け、ナイフを所持するほど危機感を抱えています。友達はいません。大人たちは彼に対して好意的に見えますが、一歩踏み込んでみればとっくに子供の心を忘れ去ってしまっています。オスカーの世界と大人たちの世界は同一に見えて、実は決して交わることがありません。
そんな寂しい日々を過ごすオスカーにある日訪れた初めての恋。成就することのない恋だと分かってもエリと生きる道を選んだのは、オスカーもまた孤独を噛み締めてきたからです。
これは孤独な魂のはかない絆を描いた異色作だと思います。
エリがプールでオスカーを助けるシーンで、自分がいじめの標的になる変わりにパシリになる道を選んだ少年を殺さなかったのも、少年の生き延びたい気持ち(形)をエリが見抜いたように思えました。

エリと一緒に町を出るラストは決して明るい未来が待ってはいないことを感じさせますが、おそらくこのときのエリとオスカーは今までの人生の中で一番心が満たされ、暖かい気持ちだったに違いありません。このひとときでしかないにせよ(オスカーはやがて大人になり、いつか死んでいく)、お互いの心の大きな隙間を埋めるパートナーに巡り会えたのですから。

ラストの哀しげではあるけれど穏やかで情緒溢れる音楽もその意図とよく合っていて、とてもよかったです。



どんなちいさなことでも何か感じていただけましたら、ぜひクリックしていただけると非常に励みになります♪

にほんブログ村 その他ペットブログへ    blogram投票ボタン
スポンサーサイト

テーマ : 日記
ジャンル : ペット

コメントの投稿

非公開コメント

原作はややグロいですが。

是非原作を読んでみて下さい、この映画はかなり説明不足に描いてます。
読まずに、これほどのレビューはすごいです。
ただ、エリの本名はエライアスといい、じつは・・・。

はじめまして。
私は、あのラスト「二人は末永く幸せに暮らしましたとさ」と解釈してます。個人的にはエリはオスカーを愛していると思うのですが?
しかし、エリの正体が判らなくなったのは映画が説明不足だからではなく日本の映倫のせいなので、これは実に残念。

わたくし、Junさんの映画感想を
楽しみにしている一人です♪
原作も映画も観ていませんが
頭の中にシーンが次々と浮かんできました
今まで自分が観てきたバンパイヤものは
バンパイヤがバンパイヤであることを
やたら派手に演出し、CGバリバリてんこ盛りでっせ~!
な作品ばかりだったので
とてもこの作品に惹かれました

次回の映画感想も楽しみにしています

こんにちは!
映画評ありがとうございます!また楽しく読ませていただきました^^なんだかとっても難しい、そしてお母飯は痛そうなシーンが苦手なのでチョイスできない映画のようですが、
やはり映画を見た気分になりましたよ~。
や、映画見てないし原作も存じ上げないのですが…
逃げられない現実が続く…長い時間のひと時の安息
そんな感じがしてしまったお母飯なのですが(暗い?^∀^;)
皆さんのコメントを見るといろんな捕らえ方があるのだなあと感心。どんな物語であれハッピーエンドがいいなあ~



ヨッちゃん、実は原作を買おうかと思いましたが、映画館で売られているのを見たら上下巻で長かったので、あっさり挫折しました(^^;
ちなみにグロいのは別に平気です(笑)
エライアス!じ、じゃあ、エリの性別は!!
映画と原作とではずいぶんイメージが違いそうですね~。
ただ、映画の脚色は原作者が手がけているので、もしかすると敢えて原作とは違う印象を志したのかもしれないですね。

esmeさん、はじめまして。
映画はエリの気持ちをどちらかにきっぱり断定する描き方をしていませんし、ラストも明確な示唆はないので、見る人それぞれの感想でいいのではないかと思います。
あのストーリーからですと、2人が末永く幸せに暮らしてくれた方がホッとしますね。
私もエリの正体が分かるか否かでストーリーががまるで違ってくると思うので、映倫の処理が残念です。

ボンさん、私のつたない感想でも楽しんでいただけて嬉しいです。
この映画を見て、バンパイア物でもこんな描き方があるのだと、ちょっと感心しました。
お盆休みにも何か観れればと思っています(^ー^)ノ

ミツルリのお母飯、楽しく読んでいただけて嬉しいです。
「逃げられない現実が~」、まさにエリの置かれた状況にピッタリだと思います(^o^)
この映画はほのぼのした部分もありますが、全体的には暗いです(笑)
私はどちらかというと考えさせられてしまうような映画が好きかもしれないです。そうでないと深く考えないので(^^ゞ

エリはもともと男らしいです。
バンパイアになるときに去勢されたので縫い跡があるらしい。
女の子ではないというエリの言葉は正しいのですね。
原作には表現されているらしいです。

Re: タイトルなし

いつもはあまりレビューを見過ぎないようにしているのですが、このときはすべてのレビューを見たので、そこに書いてあって知っていました。ただ、原作を読んだわけではないので、そこだけ知っていても「原作を読んだ上での感想」とはなり得ないので、映画のみの感想として記事を書きました。
今でも原作を読んでいないので、原作を読んでの全体としての感想はありませんが、「人の血を主食にするバンパイアが増えるより、去勢しないでエリがバンパイアにならないように殺せばよかったのでは?」という気がします。それについては原作には書かれていないのかもしれませんが。また、エリがどうであっても、2人のつながりは性的なものではなく、やはり孤独な魂同士が惹かれ合ったというふうに、個人的には思っています。
sidetitleプロフィールsidetitle

Jun

Author:Jun

ボンさん作リサとくまこ

このイラストは、ボンさん
描いてくださいました


 Jun : リサの飼い主
 東京の片隅でひっそりと
 一人と一匹の暮らし…の
 つもりが、リサの明るさ
 につられて低いテンション
 も家では上がりがち。
 ささやかながらも楽しい
 暮らしに。

 リサ : 2008年4月13日
 生まれロングコートの
 ブラックタン

コノハカメレオンたちと暮らした日々の大切な思い出を保存してあります。

sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleQRコードsidetitle
QR
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。