
不器用な飼い主に買われたリサのチョークカラーは、今まで一度も本来の役割を果たしたことがありませんでした。それは初めてのお散歩のときに一度緩んで幼稚園掛けになったことがあるだけで、あとは締まりも緩みもしませんでした。
そんなわけで、このところリサが私の前を小走りで進むことが多くなったこともあって、私はリサが苦しくないようにということばかり気にしていました。
昨日もいつものようにリサがお散歩しながら苦しい思いをしないようにチョークカラーを調節して、お散歩に行きました。週末の昼間だったので、いつもはほとんど通らない商店街のほうまで足を伸ばしてみたときのことでした。
大勢の人や自転車、車にリサは私の後ろに回って歩いていたのですが、少し歩みが遅くなったと思ったら、いきなりチョークカラーがスポッと抜けたのを感じました。
ギョッとして振り返って名前を呼ぶと、リサは小走りに私を追い越して、私の少し先をうっとうしいものが外れたからか楽しそうに、こちらを振り返り振り返りスタスタ歩いていくではありませんか!
ここで下手に追いかけたらもっと先に走って行ってしまいそうですし、これ以上名前を呼んでよけい興奮させたりしても良くないと思い、私はリサが振り返って私を見たところでさっと道路にしゃがみました。
それでなんとかなるという確信はまったく無かったのですが、お散歩中に今まで何回か靴下や靴のベルトを直すためにかがんだことがあり、リサはそういう時は一度私の元に寄ってきたからです。
私がしゃがむと、リサはすぐに私の元に走り寄ってきて、なんとそのままコロンとアスファルトの上に寝転がって、尻尾を振りながら甘え顔で私にお腹を見せたのでした。
チョークカラーが外れたときには内心青くなりましたが、リサのこの反応にも同じくらいびっくりでした。
私はそれが当たり前のことであるかのようにリサのお腹を撫でつつ、どさくさに紛れてチョークカラーを付け直し、そしてリサも私もまるで何事も無かったかのようにお散歩を続けたのでした。
それにしても、リサが戻ってきてくれたからよかったものの、運が悪ければ永遠の別れになる可能性もある重大な出来事でした。
今日、私が仕事帰りにふつうの首輪を買って帰ったのは言うまでもありません。
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